大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)2343号 判決 1950年2月17日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人四名弁護人江波戸文夫上告趣意第一点について。

所論は結局、原審の量刑を不当なりと主張するものであって、刑訴応急措置法第一三条第二項により、上告適法の理由とならないものである。

同第二点について。

しかし、所論公判調書の末尾に記載された年月日は、所論原審公判の立会書記が、旧刑訴法第六二条同第七一条に従い、その公判調書を整理作成した年月日であることは極めて明瞭であるから、論旨は理由がない。

同第三点について。

所論山村弁護人に対しては、所論公判期日の通知が適式になされたにもかかわらず、同弁護人は同公判期日に出頭しなかったものであって、その不出頭が正当の理由に基ずくものであることは、これを認めるに足る何等の証跡がないから同弁護人は自ら期日を懈怠したものというべく、かかる場合には仮令所謂必要的弁護事件であっても、他の相弁護人が出頭し之に弁護の機会が与えられた以上裁判所は不出頭の弁護人の弁論を抛棄する旨の被告人の明らかな意思表示を持つことなしに、この不出頭の弁護人の弁論を聴かないで弁論を終結しても、之をもって不法に弁護権の行使を制限したものと称するを得ない。(昭和二十四年(れ)第一四七四号、同年八月九日第三小法廷判決、昭和二十三年(れ)第一九四四号、同二十四年十二月二十一日大法廷判決各参照)。されば論旨は採用することができない。

仍って、刑訴施行法第二条旧刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例